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汗牛足vol.22 マクロな視点で500年ほどの歴史の流れがつかめる本

川北稔『世界システム論講義』世界システム論の提唱者はアメリカの社会学者、イマニュエル・ウォーラーステインです。本書の著者、川北稔はこの世界システム論を日本に紹介した第一人者として知られているようです。本書はもともと大学の講義資料だったらしく、わりに読みやすいです。マクロな視点で500年ほどの歴史の流れがつかめるのが何よりの魅力だと思いました。
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汗牛足vol.21 修道士が告発する大航海時代の暗部

ラス・カサス『インディアス破壊についての簡潔な報告』今回はスペインの修道士の著作を紹介。没後に母国で禁書にされてしまった彼の『報告』とはどのようなものだったのでしょうか。タイトルの「インディアス」というのはスペインが領有していた西インド諸島、南北アメリカ大陸の地域のこと。そこに住む先住民が「インディオ」です。コロンブスがスペイン宮廷の援助を頼りに「インド諸島」に到達し、アメリカを「発見」したのは1492年のことでしたが、スペインはこうした探検事業に続けて征服事業を展開していきます。
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汗牛足vol.20 マキャヴェッリの秀逸な「悪書」

前回のラブレーからは少しだけ時代をさかのぼって、マキャヴェッリの『君主論』を紹介します。存外に読みやすい、そして引き込まれた本です。とくに、あるテーマについて述べようとするとき、まず対象を分類することから始めて、それからそれらを一つずつ、実例を挙げながら検証するという論の進め方には彼の知性を感じずにはいられませんでした。
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汗牛足vol.19 ラブレーが命懸けで出版した禁断の奇書

エラスムス、トマス・モアに続いて、今回はフランソワ・ラブレーの『ガルガンチュアとパンタグリュエル』を取り上げます!本書は全部で4巻ないし5巻からなる大作です。ジャンルは強いていえば小説。文庫本で結構な分量になります
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汗牛足vol.18 「ユートピア」は「理想郷」ではなかった!?

トマス・モア『ユートピア』「ユートピア」という言葉は、理想郷ともいわれ、普通に用いられている語ですが、実はこの本がもとになっているんですね。実はこの造語にはある意味が込められているのですが、それについて触れる前に、本書の内容をざっと紹介しておきます。『ユートピア』は第一部と第二部の二部構成になっています:第一部は船旅で様々な国々を訪れたヒュトロダエウスという人物と、トマス・モアが友人を介して知り合うところから始まります。
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汗牛足vol.17 おバカの女神さま、バンザイ!

エラスムス『痴愚神礼賛』「痴愚神礼賛」とは、いかめしい感じのタイトルですが、「おバカの女神さま、ばんざい!」という程度の意味です。話の筋は、悪しきざまに思われている「痴愚女神」が、「みなさま」を前に自分で自分を褒めたたえる、というシンプルなもの。痴愚女神いわく、「私は人間どもの恩知らず、というか無関心にはただただ呆れ果てています。万人こぞって私を崇め、私の恩恵を受けていると感じながら、かくも何世紀にもわたって、感謝の弁舌をふるって、痴愚女神を礼賛称揚する人物が一人としていなかったのですから。」
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汗牛足vol.16 鎌田センセの講義を受けて

地学への興味が高じて「地球科学入門」という講義をモグリで受けています。これは文系向けの講義なのですが、なかなかおもしろい。(雑談率)=(雑談時間)/(講義時間)×100〔%〕と定義すると、雑談率5%でもそれなりにありがたい講義だと思うのですが、この講義はどう考えても50%を超えている(あくまでぼくの印象)。ここまでくると雑談(=地学の本筋の内容とは関係ない話)が主役になってしまっているので、「地球科学入門」なんて講義名は変更すべきでしょう!
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汗牛足vol.15 チェンジング・ブルー、必読のノンフィクション

大河内直彦『チェンジング・ブルー 気候変動の謎に迫る』この本は地学の中でも気候やかつての地球の様子について書かれているものですが、いやはや、その話題の面白さにすっかり引き込まれてしまいました。著者は気候変動の歴史を学ぶ学生のための副読本としてこの本を作ったらしいのですが、一般人が読んでも相当に面白い。成毛眞という実業家でノンフィクションを紹介している人がいるのですが、その人が絶賛して知られるようになり、文庫にまでなったという本。
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汗牛足vol.14 専門用語まみれのナンセンスを告発する本

アラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン『「知」の欺瞞 ポストモダン思想における科学の濫用』1996年4月、アメリカのポストモダニズム系の雑誌の特集号に、アラン・ソーカルという物理学者の「境界を侵犯する――量子重力の変形解釈学に向けて」という論文が掲載されました。しかしこの雑誌が出てからわずか3週間後、ソーカルは別の雑誌でこの論文がポストモダニズムのパロディ論文(編集者の好みには沿っているが、科学的概念の濫用をした、でたらめな内容のインチキ論文)であると暴露しました。
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汗牛足vol.13 ファスト&スロー

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』原題は “THINKING, FAST AND SLOW” で、日本語版の副題は「あなたの意思はどのように決まるか?」となっています。内容は副題が示す通りで、人間は大体において適切な判断を下すことができるが、時に合理的でない選択や、不正確な判断をすることがわかる、しかもそれを体感できてしまう本です。ぼく自身人間についての認識が強く揺さぶられる思いがしましました。一般向けに大変わかりやすく書いてあるので、アカデミックな内容を期待する人には論の進め方などで不満な点があるかもしれませんが、それを差し引いても多くの事例が紹介されていて楽しめる本だと思います。